ナイル河流域を中心に栄えたエジプト文明、私たちの生活に身近なものが生み出されました。

前5世紀に活躍したギリシアの歴史家、ヘロドトスの有名な言葉にあるように、まさに「エジプトはナイルの賜物」。ナイル河の氾濫がもたらす、肥沃な土壌と水とが、エジプトの農業を豊かにし、その文明を発展させました。そのためナイル河の氾濫を予測するために天文観測が行われ、氾濫後に農地を正しく配分するために測量の技術と幾何学が発達しました。

私たちに身近な文化遺産としては、まずはアイシャドーや口紅といった化粧品が挙げられます。しかし当時のアイシャドーは化粧品ではなくて、虫除けのために塗られていたそうです。口紅も同様で、紀元前3000年の頃のエジプト人が使用したと思われる口紅が発見されましたが、これも悪魔が口から侵入してこないよう、赤色の物を塗る習慣があったのが始まりといわれています。
また世界三大珍味の1つであるフォアグラですが、美食のフランスや中国ではなく、これもエジプトが起源となっています。当時古代エジプト人は、干したイチジクや麦などをガチョウに与えて飼育し、その肝臓を食していたようです。もともと古代エジプトの食文化は華やかで、さまざまな食材にも恵まれていたと記録にあります。

そしていろいろな医学や健康学でも、エジプト文化は発祥の地となりました。現在の医療器具や技術の起源は古代エジプトにさかのぼり、紀元前1500年くらいにはすでに、義眼や義肢が用いられていたと伝えられています。また最近女性の間でも人気の高いリフレクソロジーも諸説ありますが、最も有力なのがエジプト説です。エジプトのサッカラにある、紀元前2500年頃の医者のお墓の壁画には、その治療の様子の絵や、心得の文章が描かれているからです。さらに前世・現世・来世といった、今では一般的に話題される輪廻の概念もここで生まれました。
古代エジプト人たちは、華やかに装い、美味しいものをたべ、健康に気をつけるという、現代人と同じような人生をおくっていたのかも知れません。